一目でわかる 人生の達人たちの村

エルソルシンノンブレは、お年寄りたちと、それを支える人たちが直面しているさまざまな問題に焦点をあて、物心両面で支えていくことを目的としています。

認知症の人たちが笑顔を取り戻すケア


 エルソルシンノンブレでは、プロのセラピストやカウンセラーを始めとするスタッフが、『コミュニケーションのボランティア』として介護施設や時には個人のお宅や病院を伺い、認知症の方々を始めとする介護を必要とする方々への『心のケアとコミュニケーション』を行っています。

認知症の人たちが笑顔を取り戻すケア&コミュニケーション

 認知症の人たちの中には、不安やうつ状態、興奮や暴力、暴言といった症状が現れることがあります。また、脳梗塞やパーキンソン病などを患い、ベッドに長く寝て過ごす時間が多くなっている方たちの中には、言葉を発することや顔に感情を表すことすら少なくなっている場合も多々あります。

言葉を発することがほとんどなく、立ち上がることもできない。家族がいくら話しかけてもほとんど答えず、散歩に誘っても応じなかった認知症の高齢の方が、心が通じ合うコミュニケーション回路をつくり話しかけると、話し始め、立ち上がって手をつないで散歩にでかけるということもあります。

 認知症は誰がかかってもおかしくありません。現在の医学では、認知症の予防は不可能とされています。現在の認知症の人とそこに関わる方々の問題は、将来の私たち自身の問題でもあります。

 私たちは、こういった方々の心に寄り添った独自のコミュニケーションを通じて、そうした症状が消えて心穏やかになり、再び笑顔を取り戻す支援をすることを目的としています。 
 
 そして認知症になってもそれまでと同じように意義のある生き甲斐のある人生を送ることができる社会、そしてそれを可能とする、認知症の方や、障害をもった方々などを社会の片隅においやることなく、人々の多様性を受け入れ、あらゆる人を包摂して文字通り一緒に暮らすことができる新しい日本の社会を作っていくことを大きな目的としています。

現在、介護施設では、認知症の人に寄り添ったケアがだいぶ行われるようになってきたとはいえ、まだまだ十分とはいえません。

 2013年6月発表の厚生省の報告にも、「認知症を何もわからなくなる病気と考え、徘徊や大声を出すなどの症状にだけ目をむけ、認知症の人の訴えを理解しようとするどころか、多くの場合、認知症の人を疎んじたり、拘束するなど不当な扱いをしてきました」とあります。残念ながら、この状態が今現在も多くの施設で続いているのが現状です。

 典型的なケースとしては、認知症の人にたいする介護施設の職員の接し方や対応が挙げられます。

 認知症になると2種類の症状が生じてきます。一つ目がもの忘れや判断力の低下などの認知機能障害と呼ばれる症状です。

 この症状のために、つい認知症の人は何もわからない、考えることができない、いわば知能が劣化した存在と思いがちで、介護施設の職員の中には、自分より遥かに年上であるにもかかわらず、「赤ちゃん言葉」で話しかけたり、軽んじたり、見下した話し方をしたり、ひどい場合だと暴言や、その人の人格を否定するような対応をする人も少なくありません。

認知症の方の『心は生きている』

 しかし、認知症の方の『心は生きている』のです。本人は、何を言われているか、何をされているかを心のなかではわかっているのです。ただ言葉で自分の思いをうまく表現できないだけなのです。

 私たちには誰にも人生において譲れない価値があります。
そして誰もが尊厳と敬意をもって接せられるべき、その人が歩んできた大切な「歴史」があるのです。
 
 この人生の価値を踏みにじられたときに、多くの場合、認知症の2つ目の症状である、不安、うつ状態、幻覚や妄想、興奮や暴力、徘徊や不潔行為などの「行動・心理症状」と呼ばれる行動心理状態は生じてきます。このように行動・心理症状は、認知症の人の言葉にならないメッセージであり主張なのです。

 こうして自分の尊厳を傷つけられたと感じた認知症の方が、言葉で表現できないため、思わず大声を上げたり、暴れたり、徘徊などの行為にでるために、「認知症の症状が激しくなった」とみなされ、身体を拘束したり、施設では対応できないとして精神科の病院に入院させられる人が今なお増え続けています

日本の問題 ー 認知症の方の精神科の病院への入院と薬

 精神科の病院に入院させられた認知症の人は、病院にとって管理しやすいように、活力を削ぎおとなしくさせるために薬の投与が行われます
 
 その中で、特に問題になっているのは、「抗精神薬」という暴言や暴力などの行動を抑えるために使われる薬です。認知症の人にこうした薬を使うと、心臓発作や脳卒中などが起きて死亡のリスクが高まるという報告が相次いでいます。

 このため、イギリスなどでは、「抗精神薬」の使用を、危険が差し迫っている場合などに限定していて、暴言や暴力などがあっても、すぐには薬を使わない。その代わりに、なぜそうした行動が出るのか。その原因を探って、「本人の不安を取り除くためのケアを優先する」ということです。

 国が、対策の道筋を明らかにして予算もつけて積極的に取り組みを進め、国を挙げて認知症の人たちの支援を進めているフランス。そして、オランダ、オーストラリア、イギリスなどでは、精神科の病院への入院は、「そもそも生活の場ではない」。「その人らしい人生を支える場ではない」と考えられていて、基本的にない、もしあってもごくわずかで短期間とされ、
同時に薬を減らす取り組みが積極的に進められています。

 一方日本では、精神科の病院に入院する認知症の人が上述のように今なお増え続けていて、薬については認知症の人たちに「抗精神薬」がどのくらい使われているのかさえわかっていないのが現状です。

 さらに、そういった方々が、骨折や肺炎などで病院で治療を受ける必要がでたときに、そうした対応が不十分で問題が起きています。

 認知症の人は、生活環境の変化に対応するのが難しいので、病院に入院すると混乱して大声を出したり、治療を拒否したりすることが少なくありません。このため、やむをえず身体を拘束したり薬で症状を抑えたりしますが、そうすると、身体の機能が低下し別の合併症を起こしたりして、入院が長期化したり、さらには薬のため認知症が悪化するケースもあります。 

 入院が長期化した場合、それによって、以前は自分で歩けた人が寝たきりになって自宅に戻れなくなったり、口から普通の食事をとれていたのが、咀嚼や嚥下(飲み込む)機能が低下して、誤嚥性肺炎を起こす恐れから、胃ロウ(腹壁を切開して胃内に管を通し、食物や水分や医薬品を流入させ投与するための処置)を行い、やはり身体が衰弱していき、本来もっと長生きできたものが早期の死亡につながることすら珍しくありません。

ケアされる側とする側の心の絆作りー心のコミュニケーション

 認知症の症状がある高齢の方が、別の疾患の治療のため一般病棟に入院したときに、治療や処置のたびに嫌がって大声で叫んだり、暴れるため、看護師が身体を抑えつけて対応しなければならなかったり、食事も拒否するため、人工的に栄養を補給する経管栄養が行われるケースがよくあります。 

 このような状態が、こういった方々との心のコミュニケーションをとることによってわずかの間に、大声で叫ぶ症状がなくなり、心も穏やかになって会話が出来るようになるのです。そして、あれほど嫌がっていたのに、処置をむしろ積極的に素直に受け入れるようになるのです。

 私たちは、身体の拘束や薬に頼らず、心のケアとコミュニケーションを通じて認知症の人たちの声に耳を傾け、その心に寄り添い、彼らの笑顔を取り戻すことによってこうした問題の解決を図っていきます。

 認知症の方も含め全ての達人が『尊厳と敬意』をもって扱われ、ひとそれぞれの意義と生き甲斐のある、その人らしい人生を楽しむことのできる社会、そして適切なときに適切な支援を得られる社会を実現することが、私たちの目的です。












エルソルシンノンブレでは、プロの音楽家や童話作家、セラピストやカウンセラーなどのスタッフが、子どもたちや達人たちを応援するために、毎月下記の定例活動を行っております。
★ 児童擁護施設 訪問
★ 介護施設 訪問
★ 個人介護者宅 訪問

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