用語解説

(註1.)学童保育

学童保育とは、日中親が仕事で自宅にいない子どもたち、主に小学1年生から3年生までを、放課後預かる施設。 学校や児童館などを使用していて全国で85万人の子どもたちが利用している。
これは小学1年生から3年生の4人に1人にあたる。

しかし、都市部を中心に、小学3年生以下でも入れない子どもも多く、4年生以上については空きがない限りは入れない状態。さらに50万人のニーズがあるという推計もある



(註2.)『アフタースクール』

共働きの多い欧米の中でも、アメリカやイギリスで普及しているシステムで、授業が終わった後の時間も、『アフタースクール』、つまり『放課後教育』の場と位置づけて地域の学校で、放課後のカリキュラムを充実させている。

どういうことをやっているのかというと、一例を挙げると、料理を作ったり、ダンスをしたり、写真を撮ったり、パソコンをしたり、絵を描いたり。日々、たくさんのプログラムを、『市民先生』と呼ばれる地域の人たちが提供していて、子どもたちが毎日楽しく自分の好きなプログラムで過ごせるような工夫がされている。学校の先生たちの負担が増えないように、放課後の時間は、NPOなどが運営しているところが多いが、学校との連絡・連携は大事にしている。



(註3)国別母子世帯の就職率

ちなみに他の国を見てみると、例えばイギリスの母子世帯の就職率は約5割、アメリカやスウエーデンでは約7割です。
 日本の母子世帯の就職率が非常に高い状態にあることがよくわかります。
怠けているわけではな、く懸命に働いているのに、貧困状態になるという社会の構造的な問題があります。

  

一目でわかる 母と子たちの村

母と子たちの村は、子どもやお母さんたちが直面しているさまざまな問題に焦点をあて、物心両面で支えていくことを目的としています。

子どもの貧困防止私たちが目指すもの


『子どもの貧困大国 日本』 - 日本の現状


2012年5月末の、国連のユニセフの発表によると、先進諸国における子どもの貧困について国際比較した結果、日本の子どもの相対的貧困率は、OECD35か国中、9番目に高く、さらに一人当たりのGDPが高い先進諸国20カ国の中では、日本は4番目です。

日本より、子どもの貧困率が高いのは、アメリカ、スペイン、イタリアだけで、フィンランド、オランダなどの北欧諸国に比べると、日本の子どもの貧困率はなんと約3倍の高さです。
(グラフ・データ1.
そして全ての先進諸国の貧困の子どもたちの総数の約10人に一人が日本の子どもです。 日本は、国際的に、子どもの貧困率が高い『子どもの貧困大国』なのです。

相対的貧困

相対的貧困とは、「社会において当たり前と思われていること」、例えば、友だち付き合いや、親戚付き合い、就職活動や、結婚をするためのデート、子どもの生活で言えば、友人と遊ぶ、学校に行く、家族で動物園に行ったりといった、普通の子どもの生活をするのが困難となる生活水準のことを指します。

病気やけがをしても、医療費を節約するため病院に行かず、学校の保健室の応急手当ですませる子。 クラスで一人だけ修学旅行に行けない子。給食が一日のうちで唯一のちゃんとした食事のため、夏休みの間に痩せてしまう子。同じ体操着を着続けるため肌が透けるほど薄くなってしまった子。或いは給食のない高校では、クラスの子が集まって弁当を広げる昼食の時間に、昼食のお金がないため一人だけそっと教室から居なくなる子。お風呂に毎日入れずいじめられる子。教育の現場からは、このような状況にある子どもたちの報告がたくさん上がってきています。

このような子どもたちは、他の発展途上国の子どもたちのように飢えているわけでも、凍え死にそうなわけでもないかもしれません。
しかし貧困の子どもは、様々な虐待の被害にあったり、不登校や高校中退といった割合も高く、健康状態も悪いことがわかっています。大学など高等教育への進学する割合も親の収入と関係するため、とても不利な状況に置かれています。

そして、このようなさまざまな不利を背負いながら成長し、大人になってからの就職や収入にも子ども期の貧困が影響します。さらには、彼らの子どもさえも、また貧困に育ってしまう、という「貧困の世代間連鎖」が起こります。


子どもが持って生まれた才能を発揮できる社会に

子どもの貧困は、その子にとっても不幸ですが、社会にとっても大損失です。だだでさえ少子化の時代に、全ての子どもが、それぞれが持って生まれた才能・能力を存分に発掘・発揮し、社会に貢献する機会が与えられなければ、国全体が衰退してしまいます。だからこそ、どの国においても、子どもの貧困対策は政策の最重要課題とされています。しかし、日本においては、子どもの貧困が社会問題であると言う認識そのものが極めて薄く、そのための施策が不十分というのが現状です。

子どもに対する支援は、国と社会の未来への投資であり、少なくとも20~30年の長期スパンで取り組むべき重要な礎石・土台作りです。

どの子に対する愛情や支援も血が繋がっていなくとも決して無駄にはなりません

国で言えば財政難を理由に、個人レベルでは経済環境の厳しさを理由に子どもへの支援を渋り、子どもの貧困を放置することは、社会を自滅に向かわせることです。今こそ、子どもの貧困に真剣に向かい合わなければなりません。

私たちエルソルシンノンブレは、子どもの貧困の防止に全力を挙げて取り組み、そして皆様の叡智と支援を結集しながら、全ての子どもたちがそれぞれの興味のある分野、心惹かれる分野で、持ってうまれた能力や才能を存分に活かし、伸ばし、活躍できる社会づくりを目指します。




子どもたちの放課後


なぜ、今、学童保育が問題になっているのか?


働く親にとって、保育所の待機児童の問題が良く取り上げられますが、子どもが小学校に入ってから、また預け先がない、という同じ問題に直面しています。放課後、子どもを預かる学童保育が不足しているからです。

下校中の子どもたちが襲われる事件が起きている社会情勢の中で、親の帰宅まで小学生の子どもを一人にしておくのは危なくて、働く親たちにとって、学童保育(註1.)の不足は切実な問題です。

親が働いていて、学童保育に入れない子どもたちは放課後をどこで過ごせばいいんでしょうか?

都市部では自然や空き地も少ない上、野球などを禁止している公園も多く、外で遊んでも最近は周囲の理解も少なくて、うるさいと苦情を言われることも多い、子どもたちの遊ぶ場所も少ない状況です。

そのため、子どもが学童保育に入れないと、母親は仕事を辞めたり、やむを得ず、子どもを夜まで塾に行かせるという家庭も多い。

学童保育の問題は、数だけではなく
 利用時間が短い施設が未だ多く、夕方5時、6時には閉まってしまうところが全体の40%を占め、働く親にとっても利用しにくいこと。
 また、一つの施設に、80人もの子どもたちを詰め込んでいるところもあり、指導員の目が届かない、窮屈なので子どもたちにとっても、落ち着ける場所になっていないことも多い。

エルソルシンノンブレでは、働く親が抱えるこうした切実な問題の解決をサポートし、
そして子どもたち、特にこの時期に本人の持っている可能性・才能が伸びるといわ

れる 『ゴールデン・エイジ』 の7歳~12歳の小学生が、子どもらしく伸び伸びと自由に、クリエイティブに遊び、且つ安全に放課後の時間を過ごせる場を提供することに取り組みます。

私たちは、この問題を解決するために、単に子どもの預かり場所をどこかにつくればいいという受身の対応ではなく、 『放課後も、子どもたちにとって、持ってうまれた可能性を広げることが出来る、大事な人格形成の時間と空間である』 と発想を転換して、「子どもたちにとって魅力ある放課後づくり」に重点的に取り組んでいます。


「アフタースクール」と達人たち


子どもたちの放課後と達人(お年寄り)たち


その理念のもとに、重点的に取り組んでいる一つが、『アフタースクール』(註2.)です。

これは、共働きの多い欧米の中でも、アメリカやイギリスで普及しているシステムで、授業が終わった後の時間も、『アフタースクール』、つまり『放課後教育』の場と位置づけて地域の学校で、放課後のカリキュラムを充実させています。

私たちは、定年を迎えたお年寄りたちを始めとする達人たちの力をかり、共働きの家庭や母親が働きに出ている家庭の小中学生或いは高校生を対象に、学校の授業が終わった後の時間に、『アフタースクール』 として地域の学校や学童保育、或いはコミュニティで、『市民先生』として、子どもたちに本の読み聞かせをしたり、英会話や国語、算数・数学、歴史などを教えたりするなどの学習支援や、

また、石蹴りや、メンコ、ビー玉やおはじきを使った昔の遊びを教えたり、料理を作ったり、ダンスをしたり、写真を撮ったり、裁縫や工作をしたり、パソコンをしたり、絵を描いたりなど、 人生の達人たちの持つそれぞれの知識や技能・経験を活用して、子どもたちが毎日楽しく自分の好きなプログラムで過ごせるような工夫を提案します。

お年寄りは子どもからエネルギーをもらい、子どもはお年寄りから彼らの人生を通じて得た叡智と経験、そして温かさと安心をもらうことになります。(「達人たちの村」の『生きがい就労』)

働きに出る母親が増えれば、子どもたちを、放課後、地域の中でどうやって育てていくのか。子どもたちの放課後の過ごし方を、社会全体でもう一度考え直す時期に来ています。


子どもたちの『居場所』と学習支援


「学校は居たいとは思わない」、「家も居ずらい雰囲気」・・・
「家族と過ごす時間が苦痛で、見た目で判断する教師も信じられない。自分の夢なんてない」 家にも学校にも『自分の居場所』を見出すことができない、「もろくて壊れやすい」多感な子どもたち。
リストカットなど自傷行為にはしる子、「将来なんてどうでもいい。キャバ嬢になるから」と投げやりになり、夜の世界に入ってしまう子もいます。

一方、親の離婚を経験する子は年間30万人に上ります。
     (データ 「母子家庭と父子家庭の現状」

「どうして自分にはお父さんがいないの?」「私、ちゃんと愛されているの?」「パパに、『私ここにいるよ』って知ってもらいたい」という思春期の子どもたちの葛藤と孤立感。表に出ることが少ない子どもたちの本音。

 私たちエルソルシンノンブレは、そういった子どもたちの『声なき声』をすくいあげ、両親の離婚で傷ついた子どもたちや、親が仕事で忙しくかまってあげられない子どもたち、 そして思春期の多感でもろくて壊れやすい子どもたちの心に寄り添い、なによりも「この世に生まれてきてよかった」と自分の人生に価値と意義を見いだせるように絆づくりと、「ここが自分の居場所」と思える子どもたちの居場所作りに取り組みます。

そして絆を求めているこうした多感な子どもたちのための『自分の居場所作り』とともに、
高校進学希望者・大学進学希望者をサポートする学習支援

プログラム・勉強会に取り組みます。
達人たちや他のボランティアがチューター(講師)を努めますが、こうした子どもたち自身がいずれ、自分より年下の子どもたちへのチューターとなって面倒をみていけるようになることを目指します。

子どものケアや居場所づくり、学習支援などこうした子どもの関連のサービスは、同時に、一人親世帯の就労条件を容易にするばかりでなく、何よりも低所得の世帯に生まれ育った子どもたちの可能性を広げ、貧困の連鎖を断ち切るものです。

そして、エルソルシンノンブレは、そうした社会をつくるための先行的な取り組みです。

わたしたちは、日本をはじめとする世界各国が抱えている問題やニーズを解決するためのロールモデル(模範)となる社会・コミュニティづくりを目指しています




希望の持てる自立と支援


子育て支援(母親の自立支援)

 1990年代以降、貧困に陥る子どもが次第に増加するようになり、国際的にみても、日本の子どもの貧困率は先進国の中でもかなり高い水準となり、2009年には、約16%の子ども、つまり6人に1人が貧困の状態にあります(グラフ・データ 2.) 
子どもの貧困は1人親、特に母子世帯で顕著です。そして母子世帯の子どもの約51%は貧困の状態です。
      (「ひとり親家庭の主要統計データ」.)

 ここで重要なのは、母子世帯の母親の81%は働いているということです。働いているのに貧しい、ワーキングプアであるという点は、国際的に見ても日本の特異な現象です(註3)

この主な原因としてあげられるのが
① 働く女性の賃金水準の低さ
② 子どもを持つ母親が働くことへの障害が大きいこと
③ 離婚後の子どもに対する父親の養育費の支払い不履行
が非常に多いこと
    データ 「母子家庭と父子家庭の現状2.」

しかも、2000年代に入って母子世帯の年収は減少し、さらに子どもの貧困化が進んでいるのです。

 子どもの貧困は、必ずしも母子世帯にのみ見られるものではありません。
1990年代半ばから安定した雇用が減少し現役世代を含めた困窮者が増大するという、厳しい雇用環境のなかで、2人親世帯の所得の低下も、子どもの貧困化の大きな原因となっています
なかでも、父親が若い、特に20代の世帯の貧困率が高く、たとえ共働きをしても、低賃金の非正規雇用が多いため、貧困から脱出できない状態にあります。

  子どもの貧困は、単にお金がないという問題ではなく、子どもの虐待やドメスティック・バイオレンス、病気や精神疾患、自殺への衝動、犯罪、破産による家庭崩壊など、さまざまな困難が絡まっていることが多いのです。そのため、家庭が社会的に孤立しがちです。そのことが、子どもの健やかな成長を阻害することになり、学校での孤立や学力不足となり、不登校、中卒や高校中退、非行・問題行動、就職困難というように連鎖して、子どもの将来を不安定なものにしているのです。

私たちはこうした事態にどのように対応するべきなのでしょうか。子どもの貧困化に歯止めをかけるためにはどうしたら良いのでしょうか?

愛に満たされた子供たちが生命を引き継いでいくことは、平和で優しい、持続可能な社会をつくることにつながります。
  
子供が健やかに成長する為には、愛に満ちた家庭環境が大切であり、その主要な役割を果たすのが母親である女性です

 母子家庭のお母さんが貧困から抜け出るためには、上記を始めとしたいくつもの課題を解決しなければなりません。


 一方、子育ては24時間休みがありません。相当のストレスも溜まります。 世界の中で突出している日本の正社員の長時間労働。そのため、子どもをもつ女性が働きにくいだけでなく、専業主婦になって子育てをしている女性も、夫の帰宅時間が毎日遅いため、一人で育児を抱え込んで不安を募らせている。

 私たちエルソルシンノンブレは、こうした社会的な不利を抱えながら懸命に生きているお母さん方や育児・子育てで社会的に孤立しがちなお母さんたちの心に寄り添い、カウンセリングやリフレッシュのための様々な余暇活動などによるメンタルケアや家計再建のためのアドバイスなどと並んで、子どものケアや居場所づくり、学習支援などを通じての物心両面での生活の向上のサポートに取り組みます。

 そして、この活動を通じて全ての人々が社会の中で『つながり』を持ち、皆が『居場所』を得て、全ての人々がそのような活き活きとした生活を実現できることを目指します。

 わたしたちは、 『全ての子どもと女性にに愛ある温かな家庭と環境を、 全ての子どもに豊かで質の高い教育を』 を提供できる社会の実現に取り組みます。











エルソルシンノンブレでは、プロの音楽家や童話作家、セラピストやカウンセラーなどのスタッフが、子どもたちや達人たちを応援するために、毎月下記の定例活動を行っております。
★ 児童擁護施設 訪問
★ 介護施設 訪問
★ 個人介護者宅 訪問

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